ルールが違う…現行制度の理不尽さ なぜヘルパーに「ついでにお願い!」ができないのか (4/6ページ)

 複数自治体で同じオペレーションが実施できないため、地域別に組織内のルールや仕組みを構築する必要があり、市をまたいで広範囲に展開しているような事業者にとって、このローカルルール問題は影響が大きくなる。そのため、特に大手事業者は、混合介護の議論が進む過程としてローカルルールの存在が明らかになり、統一されていくことに期待を寄せている。

 弾力化に向けて解消しておくべき課題

 混合介護の弾力化については当然、メリットだけではなく課題や懸念点も挙げられている。例えば、事業者が収益性の高い保険外サービスに注力し保険サービスの質の低下や人手不足が拡大する懸念、低所得者と富裕層で不公平が拡大する懸念である。

 混合介護における保険外サービスは同時一体的提供が前提にあり、介護保険サービスを提供する事業者が提供することが想定されている面が大きい。実際に保険外サービスを提供したいと考えている介護事業者は多いが、保険外サービスを提供している事業者は限定的となっている。この理由は保険サービスに係る人手が不足しており、保険外サービスに回せるリソースがないということが大きい。現状、介護事業者は保険サービスの人手を回して保険外サービスを提供しようという考えは少ない。

 また、すでに保険外サービスを提供している事業者も少なくないが、その多くにおいて、保険サービス利用者のうち保険外サービスの利用は2割にも満たず、利用額も月に数万円あれば多い方であり、大半は数千円程度という状況である。介護事業者は、保険外サービスに注力することで十分な収益を得るには程遠い状況であることからも、保険サービスからのシフトが生じる可能性は低いだろう。

 現状で提供されている保険外サービスの内容を見ると、その利用額は1回あたり15分程度の場合で500円~1000円程度、1時間であれば2500円~4000円程度が多くなっていて、必ずしも高額ではない。また、いわゆる富裕層はここで示しているような保険外サービスではなく、一般的なサービスとして掃除や配食といった専門サービスをすでに利用しているケースが多い。

注意が必要なのは訪問介護よりも別にある