現役時代より稼げるシニアの性格 定年目前で転職、トントン拍子で社長昇進 (1/3ページ)

 年功序列制度が崩壊して役職定年が導入されたことなどから、年を取れば年収が下がるのが常識となった。しかし、なかには年収を伸ばして、現役時代より稼ぐシニアもいる。彼らはどのような性格の人たちなのか--。

 平社員入社から上場企業トップへ

 シニアの雇用条件は実に厳しい。図にあるように、1000人以上の大企業の大卒男子の定年後の月給は、ピーク時の約4割も減る。しかし、定年後の新しい仕事で見事に成功を収め、定年前よりも収入を増やしたシニアもいる。

 井上幸介さん(仮名)は、大手電機メーカーの営業部門で官公庁に情報システムを売り込むといった実績を挙げ、統括部長まで昇進した。同社は社員を60歳前後で関連会社などへ出向させるのが通例だったため、65歳まで現役を目指していた井上さんは転職を決意、在職中に再就職活動を始めた。

 しかし、年齢の壁に阻まれ、なかなかうまくいかなかった。そんなとき、付き合いのあったIT企業に「どんな待遇でもいいので、現場の仕事を続けたい。雇ってもらえませんか」と相談したところ、「それなら、ぜひ来てください」といわれて、なんとか転職にこぎつけた。

 プライドを捨てられる人が成功する

 ビジネスパーソンの生涯キャリアの研究で知られ、井上さんとも親しい一橋大学特任教授の西山昭彦さんは、「転職がうまくいくシニアには、井上さんのように、プライドを捨てられる性格の人が多いですね」と力説する。井上さんは、統括部長という役職だったプライドよりも、現場での仕事を最優先し、「再就職できるなら、平社員でも構わない」と割り切れる性格だったことが奏功したのだ。

 井上さんが転職したのは、東証マザーズに上場していたものの、社員50人ほどのIT企業で、与えられた肩書は「事業部長代理」。実質的には平社員同然で、給料も転職前の3分の1に下がった。しかも、転職先は業績が悪化し、いつ経営破綻してもおかしくない状態だった。

トントン拍子に出世し、ついに社長へ