なぜ復職できない? 介護離職からの現場復帰を阻むこれだけの壁 (2/4ページ)

 もはや女性に限らない、介護離職

 まず、介護離職の規模を把握しよう。「全国就業実態パネル調査2017」(リクルートワークス研究所)によると、この5年間(2012年から2016年)に介護を理由に離職した人は推定約54.1万人にのぼる。そして、その内訳は40代が17.9%、50代が38.3%、60代が16.2%と、40代以上がほとんどであり、また、全体のうち3割が男性である。介護を理由に離職するひとは、組織でマネジメントを担当する重要な立場の年齢層であること、そして、かつてのように、女性に限らないことがわかる。

 つぎに、介護離職のその後についてみていきたい。介護の必要度合いや期間の長さは、個々人によって異なるため、先がどうなるのかは予測しにくい。再度仕事に就きたいと思ったとしても、その状態と両立できる仕事を探さなければならないし、介護による離職の場合は、本人の年齢が40代を超えている場合が多いため、新しい仕事を見つけることがそもそも難しいと予想される。

 離職後の一定期間での就業状況をみるために、すでに離職してから2年間が経過している、2012年から2014年の離職者に注目し、その期間内で、離職後につぎの仕事に就くまでのブランク期間を集計した(図表1)。介護による離職の特徴をみるために、ほかの離職理由によるブランク期間も、合わせて集計している。

(PRESIDENT Onlineより)

(PRESIDENT Onlineより)

 ブランクが長く、時間が経過しても仕事に就いていない

 まず、介護による離職は、「3カ月未満」で次の仕事に就く割合は16.3%であり、「妊娠・出産」(7.3%)、「結婚」(14.9%)に続いて低い方から3番目。1年が経過しても、3割(16.3%+4.4%+9.2%)しか仕事についていない。そして、2年経過した時点でも、働いていない割合が56.4%と高く、その割合は「妊娠・出産」(77.1%)、「結婚」(67.9%)、「定年」(63.6%)に続いて高いほうから4番目である。「育児・子育て」(50.9%)よりも高い。このように、介護による離職は、つぎの仕事に就くまでのブランクが長く、また、時間が経過しても仕事に就いていない割合が高い。

離職後2年以内に仕事に就いた人は、どのような働き方をしているのか