【視点】歌姫を襲った線維筋痛症 日本、患者200万人も低い認知度 (1/3ページ)

 □産経新聞編集委員・工藤均

 米国の女性歌手、レディー・ガガさんが9月、体調不良により活動を一時休止することを明らかにしたのは記憶に新しい。原因は「線維筋痛症」という病気だった。実は、日本では中年女性を中心に200万人もの患者がいると推測されているが、症状が多く、原因も未解明なため的確な治療が困難という。これだけ多くの患者がいても、社会の認知度も低いままだ。

 日本線維筋痛症学会の西岡久寿樹理事長によると、西岡氏を中心に厚生労働省に研究班が発足したのが2003年10月。調査の結果、人口の約1.7%、約200万人の患者がいると推定され、75%以上が女性で、30~50代の発生率が高かった。

 主な症状は全身に激しい痛みが起こる慢性の疼痛(とうつう)とこわばりだが、疲労、抑鬱感、不安感など多彩だ。重症化すると、爪や髪への刺激や気圧の変化で激痛が走る。血液検査などでは異常がなく、自律神経失調症、更年期障害などと診断された。社会の理解度が低く、患者が孤立することも。10年前、育児休業中に自殺した女子アナウンサーも線維筋痛症を患っていた。

 発症には2段階のステップが考えられている。1つは思春期に受けたトラブル、手術や事故による外傷などだ。ガガさんは思春期に性的被害を受け、その後PTSD(心的外傷後ストレス障害)などに苦しんでいたことを明らかにしている。2つ目はその後、身内の不幸や離婚、介護など、新たなストレスが加わるケースだ。

私事の目線でみる生活面・治療面での問題点