【視点】歌姫を襲った線維筋痛症 日本、患者200万人も低い認知度 (2/3ページ)

 私事で恐縮だが、妻(59)も4年前の夏、全身に強い痛みが走った。検査の結果は異状なし。病院を転々とした後、線維筋痛症を疑われた。診察はカウンセリングと鎮痛剤の処方。約1年後、再び痛みに襲われ、鎮痛剤の量が増えた。妻は記者が単身赴任をした約3年間、同居中の義母の介護を続け、義母が入院後に発症した。今も気候の変化やストレスなどで軽い痛みが出る。2度、救急搬送されたときの発作の恐怖を抱えながらの生活が続いている。

 日本では5年前、鎮痛剤が認可された。だが、あくまでも症状を軽減する対症療法にすぎない。症状が多い線維筋痛症は鎮痛剤だけではコントロールしにくいのだが、医師によっては「鎮痛剤を出せばいい」となる。また、体を押すと痛みが出る「圧痛点」の数など、診断の指標となるガイドラインも作成されたが、同様に症状の多さが壁となっている。

 02年10月に結成された患者団体「線維筋痛症友の会」(会員数約3800人)の会員への調査(15~16年)によると、1カ月の医療費の自己負担額は1万~2万円未満(25.5%)、2万~3万円未満(11.4%)など。なかには10万円を超える人もいた。就労については「問題なく働ける」は2.6%しかいなかった。

 友の会では、医療費が助成される指定難病への対象を求めているが、難病法の(1)治療方法が確立していない(2)患者数が人口の0.1%程度(約12万人)以下-などの基準に該当せず、指定されていない。橋本裕子理事長は「原因不明で治療法がない病気が難病。重症なら治療や支援は必要。一定期間だけでも無料にしてほしい」と話す。

対策はまだ十分とはいえないが、明るい話も