【視点】歌姫を襲った線維筋痛症 日本、患者200万人も低い認知度 (3/3ページ)

 厚労省は今年度、慢性疼痛対策の事業費として約1億4000万円(当初)を計上しているが、線維筋痛症は無数にある慢性疼痛の一つ。十分とはいえない。また、行政に影響を与える研究班事業も重要だ。同省の福井亮・難病対策課課長補佐も「医療にはさらなる向上を期待している」と話す。ただ、多忙な医師たちに対し、依頼する行政側がどれだけ要求できるのか。

 研究段階だが、明るい話もある。横浜市立大と長崎大などの研究チームが9月、原因物質の候補となるタンパク質を発見したと発表した。横浜市大大学院の西村善文学長補佐は「根本的な治療薬につなげていきたい」と話している。

 西岡氏は「線維筋痛症の治療にはさまざまな領域の医師が連携するチーム医療が必要。患者の訴えを医師が謙虚に聞くトレーニングも重要だ。医師はもっと勉強し、踏み込んだ病気のメカニズム解明と治療薬の開発を推進すること」という。それこそが適切な医療体制の構築につながると思う。