長野のニホンジカからセシウム 在庫肉は全て基準値以下

 長野県富士見町で捕獲された野生のニホンジカ1頭から国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、県は、諏訪地域にある野生鳥獣食肉の加工施設を対象に、在庫のニホンジカ肉すべての検査を行った。基準値を超える放射性物質は検出されなかった。

 調査は18~27日にかけて、同地域の加工施設内などに保存されていた計340頭分について実施。このうち、富士見町で捕獲された2頭から、46ベクレル、29ベクレルの放射性セシウムがそれぞれ検出されたが、いずれも基準値以下だった。

 県は、平成23年の東京電力福島第1原発事故以降、毎年約40頭の検査を実施。これまでに放射性物質が検出されたのは、24年6月に軽井沢町で捕獲された1頭のみで、ほかに検出例はなかった。

 県鳥獣対策・ジビエ振興室の佐藤繁室長は「なぜ事故から6年以上たって突然、放射性セシウムが検出されたのか」と話す。その上で、富士見町で捕獲されたニホンジカの出荷や販売の自粛要請を続けていく考えを示した。