辞書は改訂が必須。同社辞書編集室の坂倉基さんは「刊行することができたので、次はどう改良するかを考えています。デジタル化、情報化時代に合ったかたちで、これからも進化していかなくては」と意欲を示す。しかし、大変な人手と費用がかかるのも事実。
辞書の主なユーザーは学生層。進学に合わせて需要が生まれる。しかし子供の数そのものが減っている。投じた費用は、売れなければ回収もできない。辞書の刊行部数は年々減る一方で、改訂をあきらめる出版社も。出版大手の講談社は辞書の編集部をなくしてしまった。
『新字源』も旧改訂版の初版部数は15万部だったのが、今回は初版5万部でスタート。「紙の辞書という文化が瀬戸際にあるのは確か」と坂倉さん。しかし、いくら時代が変わっても「調べる」という行為はなくならないし、紙には紙の良さがあると力説する。
ネットでは、熟語や用例からの検索が簡単にできるが、あいまいな情報で探すのは不得意。一方、紙の漢和辞典は、読み方や書き方が正確にわからなくても、画数や部首から文字を探せる。探しながら、その字にまつわるさまざまな情報が一覧できる。似た成り立ちの漢字なども目に入る。