断れない人がムダにしている“2つの資源” 相手を納得させられる「最強の断り方」 (4/4ページ)

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◆「断るための嘘」は「無難な断りフレーズ」に変換を!

 相手を傷つけないための些細な嘘は、人間関係における緊張の緩和に役立ちます。しかし嘘をつき続ける心理的負担やバレてしまった場合のデメリットを考慮すると、断るために嘘をつくというのはお勧めできない方略です。

 実は、断るときに述べる理由は詳細でなくとも効果があります。嘘にならない無難な断りフレーズで代用してみましょう。

ケース1:飲み会の誘いを断る

嘘の理由を使う例)

「肝臓の数値が高くて、ドクターストップがかかってしまったので参加ができないんです」

無難なフレーズを代用する例)

「最近ちょっと体調が悪くて……。残念ですが今回はやめておきます」

ケース2:急な休日出勤の依頼を断る

嘘の理由を使う例)

「病気の母の看病で、土日は出かけられないんです。お役に立てず申し訳ありません」

無難なフレーズを代用する例)

「家庭の事情で、土日の出勤は難しいんです。前もってわかれば対応できるのですが……」

 断りフレーズの「長さ」は、丁寧さを感じさせるポイントですが、具体的でない理由でも丁寧さが伝わることがおわかりいただけると思います。

◆上司は断りやすい誘い方も覚えておこう

 逆に、あなたが誘う側の立場になってみましょう。上司や取引先といったパワーバランスがある関係性は、断りにくさに影響します。必要性が低いケースでは相手が断りやすいような誘い方をしましょう。

 例えば、忘年会や新年会などの飲み会に誘うとき、皆さんはなんと声をかけているでしょうか。お勧めなのは「さしつかえなければ」というフレーズです。「強制の飲み会なのかな」といった心配をさせることなく、断る余地があることを伝えられます。

 こういったコツを覚えておくと、大事な場面で承諾が得やすくなる他、断られたときの心理的負担も少なくなります。

 断るというのは基本的にはネガティブで、相手に不快感を与えたり、人間関係を損なったりする可能性がある行為です。しかし、配慮によってそのリスクを低くすることができます。相手の感情も、自分の感情も大事にすること。それが断るときの最強の話し方なのです。

藤田尚弓(ふじた なおみ)

藤田尚弓(ふじた なおみ)コミュニケーション研究家
早稲田大学オープンカレッジ講師 株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

藤田尚弓の最強の話し方】はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんがビジネスシーンで活用できる会話術を紹介する連載コラムです。更新は月初木曜日。