“すごい”“おもしろい”は控えめに バカっぽくならないための「大人の文章テク」 (3/6ページ)

 テクニック1:分析的に言い換える

 「◯◯さんはすごいね」「これはすごい企画だ」。仕事中でさえ、わたしたちは過剰に「すごい」を使ってしまいます。しかし、「すごい」という形容詞は強調を表現するだけなので、その内実がわかりにくくなりがちです。何がどのようにすごいのかをはっきりさせないと、真意が伝わらない文章になるのです。

 その点をふまえて次の「すごい」を言い換えてみます。

 ・人間の身体はすごい。

 ・プロの投手の球は生でみるとすごい。

 (言い換え例)

 ・人間の身体は精巧に作られている。

 ・プロの投手の球は生でみるとその迫力に圧倒される。

 このように、「すごい」の中身を具体的に考えることで、表現が分析的になり、説得力が増します。では、次の形容詞「おもしろい」はどのように言い換えられるでしょうか。

 ・日本のアニメはおもしろい

 「おもしろい」を人に説明するのは難しいことです。日本のアニメはおもしろい。そう言ってしまえば簡単ですが、そこに深みはありません。日本のアニメはどこがおもしろいのだろうかと具体的に考えてみると、いろいろなことが見えてくるでしょう。たとえばスタジオジブリの一連の作品を考えてみると、こんな「おもしろさ」に気がつきます。

 (言い換え例)

 ・日本のアニメはストーリー性が強く、子どもだけでなく、大人も楽しめるものになっている。

 また、『君の名は。』の新海誠監督の映画であれば、丹念に作り込まれた映像美がなによりも印象に残るので、こんな「おもしろさ」にまとまるでしょう。

 (言い換え例)

 ・日本のアニメは、細かく作りこまれており、それを支える映像も鮮明で、目で見て楽しめるものになっている。

 「おもしろい」という形容詞の内実を具体的に考えていくと、自然とその世界の魅力について深く分け入ることになります。ものごとを考えるうえで、形容詞で思考を止めないことはとても大切です。

テクニック2:客観的に言い換える