困った部下をうまく動かす「5つの鉄則」 優秀なリーダーはこう対処する (1/4ページ)

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 「困った部下」にどう対処すればいいか。組織・人事コンサルタントの麻野進氏は「リーダーの役割は、組織のミッションを果たすこと。それなのに、『部下を育てる』ことに頭が行きすぎている人が多い」と指摘する。リーダーは「困った部下」よりも「優秀な部下」に時間をかけるべきなのだ。それでは具体的にどうすべきか。優秀なリーダーたちが実践している「5つの鉄則」とは--。

 ※本稿は麻野進『最高のリーダーが実践している「任せる技術」』(ぱる出版)の第3章「『任せる技術』が身につく5つのステップ」を再編集したものです。

 【鉄則1】部下の育成より、任せた仕事の完遂を最優先に

 リーダーに求められているのは、「任された(期待された)成果を出すこと」である。そして、その目的である成果を出し続けるために、部下を育成するという手段を講じる。あくまで部下育成は成果をあげるための手段であって、目的ではない。

 冷静にその部下の能力・経験レベルを見極め、それに合った、あるいはそれよりも低いレベルの仕事を任せるのが原則となる。部下の成長を願い、成果が出るまで我慢して使い続けることができるのが理想だが、リーダーの心と予算に余裕がなければ、リーダー自身が疲弊してしまう。

 仕事の任せ方としては、チャレンジ要素を排除し、「確実に」できるレベルの仕事を与えることになる。それがたとえ、組織内における位置づけと比べて小さな仕事であったとしてもだ。

 そしてもうひとつ大事なのが、レベルに合った仕事を任せていることを、はっきりと本人に伝えることだ。もし困った部下が「主任」という立場だとすると、主任に求められる仕事や業務目標を与え、その働きぶりを評価する。これが一般的な人事評価制度だ。だが、明らかに主任としての役割を果たすことができないのであれば、できる(できそう)な仕事を与えなければ、組織全体の労働生産性が落ちてしまう。

 つまりリーダーには、余計な管理工数(頻繁な仕事のチェックや指導)がかかり、部下本人には余計な工数(できない業務に取り組むことによる無駄な努力)が発生するばかりか、リーダーが負わなければならない(失敗の)リスクが増大する。

本人の力量を超えた過剰期待をしていないか