17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家のひとり、ヨハネス・フェルメール。現存作がわずか35点前後と寡作で知られるが、今秋、国内展最多の8点が一挙に集結し、“日本最大”の「フェルメール展」が東京都台東区の上野の森美術館で実現する。名画「ぶどう酒のグラス」の初来日も決まるなど期待は高まるばかりだが、そもそもフェルメールの絵画はなぜ、私たちを心をとらえるのだろうか。時を超えた魅力に迫りたい。
現時点で来日が発表されたのは、日本初公開「ぶどう酒のグラス」を筆頭に、人気の高い傑作「牛乳を注ぐ女」や最初期の宗教画「マルタとマリアの家のキリスト」、人物の心のひだまで感じさせる晩年の名品「手紙を書く婦人と召使い」-の4点。残りの4点は順次明かされる予定だが、本展ではフェルメール作品だけでなく、ハブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホら同時代の画家の名品も合わせて紹介、約40点で黄金期と呼ばれる17世紀オランダ絵画の神髄に迫る。他の画家と比べることで、フェルメール人気の背景が見えてくるかもしれない。
総合監修はフェルメール研究の第一人者である米ワシントン・ナショナル・ギャラリーのアーサー・K・ウィーロックJr.氏。また、成城大名誉教授で広島県立美術館長の千足伸行氏が日本側監修を務める。