新人賞を取る、小説投稿サイトで人気となる… 多彩になってきた小説家になる方法 (3/3ページ)

電撃小説大賞で大賞を受賞のうーぱーさん(左)と凩輪音さん
電撃小説大賞で大賞を受賞のうーぱーさん(左)と凩輪音さん【拡大】

  • NovelJam2018の発表会。左から日本独立作家同盟の鷹野凌理事長、審査委員長の藤井大洋氏、前回参加者でマンガ家のうめ(小沢高広)氏、小説家で審査員の内藤みかさん
  • エブリスタが応募窓口となる氷室冴子青春文学賞

 個人が執筆した小説やマンガなどを自分で電子書籍化し、販売するセルフ・パブリッシングの動きも拡大している。2013年に「Gene Mapper -full build-」を早川書房から刊行してデビューした藤井太洋氏は、原型となる作品を2012年に電子書籍でリリースし、高い評判を得ていた。「オービタル・クラウド」で第35回日本SF大賞を受賞し、日本を代表するSF作家として知られるようになった現在も、藤井氏はセルフ・パブリッシングの振興をねらった活動に協力。特定非営利活動法人日本独立作家同盟が実施する、デジタルネットワークを活用した新しい出版の形を創出するプロジェクト「NovelJam2018」で審査委員長を務める。

 この「NovelJam」は、著者、編集者、デザイナーがチームを作って短時間のうちにゼロから小説を書き上げ、編集、校正、装丁を行った上で電子書籍プラットフォームで販売するというもの。セルフ・パブリッシングによって本を作り出すプロセスを競技化することで、世間の関心を集めることができる。

 2017年2月に第1回が実施され、「島津戦記」などの著作を持つ作家の新城カズマ氏が最優秀賞を獲得したことも話題になった。もっとも、プロだから有利という訳ではなく、電子書籍の販売数では一般からの参加者の方が多かったとのこと。ネットというフラットな環境で、内容や見栄え、プレゼンテーションの方法を工夫することで、著者の知名度だけに頼らない広がりが持てることが示された。

 第2回となる「NovelJam2018」も、2018年2月10日から12日まで開催予定で、東京都八王子にある大学セミナーハウスに集まった著者16人と編集者8人、デザイナー8人が8組に分かれ、合宿形式で創作を行い完成から発表、そして販売へと持っていく。2018年1月5日23時59分まで参加者を受け付けており、応募多数の場合は選考を経て参加者を確定する。

 「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」など数々のヒット作を送り出してきた編集者の三木一馬氏が講演を行い、審査員には第1回で最優秀賞を獲得した新城カズマ氏、小説家の内藤みかさんらが参加。こうしたプロのアドバイスを経ることで創作のレベルアップも図られる。執筆から出版まで時間がかかるのが通例の小説を短期間で作り上げ、勝敗まで決めてしまう展開は、他に類を見ない新しいエンターテインメントとしても楽しめそうだ。