利害対立で困ったら“赤の他人”を巻き込め 割り切れないモノを割り切る「交渉術4原則」 (1/4ページ)

 交渉に行き詰まったとき、どうすればいいか。ひとつの解決策は「赤の他人=第三者」を巻き込むことだ。目先の利害だけにとらわれていると、問題解決は遠のいてしまう。コミュニケーション・アナリストの上野陽子氏が、そんな含蓄のある「アラブの古い話」を紹介する--。

※写真はイメージです(Getty Images)

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 第三者の介入による秀逸な問題解決策

 最近のニュースをみていて、「これでは交渉はまとまらないだろうな」と思うことがある。利害関係者同士がやりとりを続けるだけでは、対立が深まる可能性だって否めない。話がまとまらないときには、第3者を介入させることで思わぬ解決策がみつかることもある。

 交渉の場面にでくわしたとき、秀逸な解決方法として学生時代に友人から聞いたアラブに伝わる古い話を思い出すことがある。3人兄弟で遺産を分割するという内容だ。一見パズルみたいで複雑に感じられるので、欧米ではbrain teaser(頭の体操)として使われるし、日本でも小学生向けの算数問題として紹介されることも多い。ちょっと滑稽にみえるかもしれないが、すこしお付き合いいただきたい。

 兄弟3人で分割する遺産とは、ラクダ17頭。遺言は「ラクダ17頭の2分の1は長男に、3分の1は次男に、9分の1を三男にゆずる」というもの。分割内容をまとめると以下のとおりだ。

 <遺産分割>

 遺産のラクダ17頭

 長男 2分の1

 次男 3分の1

 三男 9分の1

 17頭を3人で分けたら、整数では割り切れない。これではラクダを切り刻むことになると、兄弟ゲンカがはじまった。そこへラクダに乗ってやってきた賢者が、こんな風に提案する。

「なるほど、それでは…」