アニメ映画「この世界の片隅に」にも登場、広島のレストハウス、改修で来月から休館

2月からの休館する平和記念公園のレストハウス=広島市中区
2月からの休館する平和記念公園のレストハウス=広島市中区【拡大】

 広島市は、平和記念公園(中区)内の被爆建物で、現在は観光案内所などとして使われているレストハウスを2月から休館すると発表した。耐震補強などの改修工事を実施するためで、平成31年12月頃に再オープンする予定という。

 レストハウスの休館に伴い、館内の観光案内所は2月1日~3月31日は原爆資料館東館1階に、4月から改修工事が終了するまでは公園内の「原爆の子の像」の西側にそれぞれ仮設して業務を続ける。

 レストハウスは、鉄筋コンクリート造りの地上3階、地下1階建て。昭和4年に「大正屋呉服店」の店舗として建てられた。当時としてはモダンなデザインで、原爆投下前の姿は一昨年に公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」にも登場した。

 爆心地からの距離は170メートル。原爆投下当時は国策の統制会社「県燃料配給統制組合」が使用していたが、屋根が押しつぶされ、内部も破損、地下室を除いて全焼し、多くの社員が亡くなった。昭和32年に市が買収し、57年からレストハウスとして使われてきた。

 市によると、工事費は約8億円。耐震補強のほか1階に観光案内所と売店、2階に休憩室を設ける。3階には被爆前に公園周辺にあった旧中島町地区の写真などを並べて昔の街並みをしのぶ展示室を新設する。被爆当時の姿をとどめる地下室は可能な限り現状のまま保存するという。