日本でインフルワクチンが不足するワケ なぜ欧米と同じように大量製造できないのか (2/7ページ)

 突然走り出すなどの「異常行動」も

 12月6日付の朝日社説は「この冬もインフルエンザが全国的な流行期に入った」と書き出し、「それに先立ち、未成年者を中心にインフルエンザにかかったときに起きることがある異常行動について、厚生労働省が注意を呼びかける通知を出した」とマンションから飛び降りるなどの患者の異常行動を取り上げている。

 朝日社説は「国の研究班によると、突然走り出すなど重大な事故につながりかねない行動が、昨シーズンだけで53件確認された」と指摘したうえで、通知の予防策について「医師や薬剤師が患者・家族に確実に伝えるとともに、とりわけ子どものいる家庭は十分に注意を払ってもらいたい」と呼びかけている。

インフルエンザウイルス H1N1(写真=iStock.com/bodym)(PRESIDENT Onlineより)

インフルエンザウイルス H1N1(写真=iStock.com/bodym)(PRESIDENT Onlineより)

 問題はタミフルなどのインフルエンザ治療薬が異常行動の原因なのか、それとも薬の服用に関係なく、インフルエンザ患者全体にいえることなのか、である。

 この点に関し、朝日社説は次のように書いている。

 「因果関係について結論が出ないまま、厚労省は発症から最低2日間は患者を一人にしないよう通知し、10代の患者にはタミフルの処方を原則として控える措置が、今もとられている。関係者は引き続き、薬が異常行動のリスクを高めることはないのか慎重に検証する必要がある」

本当に異常行動の原因は薬なのか