【書評】『お殿様、外交官になる』熊田忠雄・著 洋行経験ない元藩主の奔走


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 近代国家への仲間入りを急ぐ明治政府が、にわか仕込みの公使に抜擢(ばってき)したのは、なんと「元お殿様」。

 だが、鎖国下で育った彼らの中には洋行経験すらない者も。例えば安芸広島藩の最後の藩主となった浅野長勲(ながこと)は幕末には「攘夷(じょうい)」を叫び、とても「外交」には縁遠い人物。

 「薩長にあらずんば人にあらず」と言われた時代に外務卿の井上馨は浅野をイタリア駐在公使に取り立て、浅野も任地で日本の存在感を高めようと奔走した。こうした元藩主の中には、赴任先に妾(めかけ)を同伴するつわものも。そんな彼らの人物像や外交的成果に迫った一冊。日本の「外交デビュー」顛末(てんまつ)記でもある。(907円、祥伝社新書)