「おくすり手帳」の持参で薬代は安くなる 知らないと損する医療費の話 (1/3ページ)

 2016年度の調剤報酬改定で見直し

 「薬局でおくすり手帳を書いてもらうとお金がかかる」

 もしもこう思っているなら、それは間違った情報だ。実は、2016年度の調剤報酬改定で、薬局におくすり手帳を持参すると医療費が安くなるように見直されたからだ。

 「おくすり手帳」は、複数の医療機関で処方された薬の情報を一冊の手帳にまとめて記載することで、薬の相互作用や重複投与による健康被害を防ぐことを目的に作られた。

※写真はイメージです(Getty Images)

※写真はイメージです(Getty Images)

 きっかけは1993年10月に起きたソリブジン事件だ。抗がん剤投与中の患者が、帯状疱疹の治療薬・ソリブジンを服用したところ、薬の相互作用によって複数の死者、重症者を出すという出来事が起こった。

 薬は、正しく使えば病気やケガの回復を助けてくれるが、飲み合わせが悪かったり、用量を間違えたりすると、思わぬ健康被害を招くことがある。

 この事件を機に、一部の大学病院や調剤薬局で、患者が服用している薬剤名などを手帳に書いて、情報提供するようになったのだ。当初は無料のサービスだったが、医療費削減効果などが期待されて、00年に国の制度になり、薬局でおくすり手帳に薬剤情報を記載してもらうと、一定の料金がかかるようになった。

「なし」は20円安かった