「おくすり手帳」の持参で薬代は安くなる 知らないと損する医療費の話 (2/3ページ)

 「なし」は20円安かったが……

 だが、薬局でもらう領収書や明細書を見ても、どこにも「おくすり手帳代」とは書かれていない。おくすり手帳への情報提供の報酬体系はわかりにくいが、実は「薬剤服用歴管理指導料」という項目に含まれている。

 これは薬剤師による服薬指導の料金で、残薬の確認や後発医薬品の情報提供などとともに、おくすり手帳に薬剤情報を記録することが算定要件になっている。

 16年3月までの薬剤服用歴管理指導料の患者負担は、おくすり手帳への情報提供が「あり」の場合は120円(3割負担の場合、以下同)。「なし」だと100円で、手帳を断ったほうが医療費の自己負担は20円安くなった。そのため、薬局でおくすり手帳を断る患者が続出してしまったのだ。

(PRESIDENT Onlineより)

(PRESIDENT Onlineより)

 だが、おくすり手帳は、薬剤による健康被害を防ぐ重要なアイテムだ。

 東日本大震災や熊本地震の被災地でも、おくすり手帳を持っていた被災者は避難所などでスムーズに診療や投薬ができた事例が数多く報告されている。

 また、国は国民におくすり手帳を持ってもらうことで、残薬をなくして医療費を削減したいと考えている。そこで、患者のメリットを考慮して、昨年度の調剤報酬改定で、薬局に手帳を持参すると医療費が安くなるように見直したのだ。

1回あたりの薬代を40円節約