防災無線を受信→テレビが起動し表示 茨城・常総市で新システムの実証実験

テレビ画面に映し出された防災情報を確認する特別養護老人ホームの職員=21日午前、茨城県常総市水海道高野町
テレビ画面に映し出された防災情報を確認する特別養護老人ホームの職員=21日午前、茨城県常総市水海道高野町【拡大】

  • 4月からダウンロードできる予定のアプリの画面。中央に常総市職員が投稿した写真が表示されている

 茨城県常総市は21日、災害時に発令する避難勧告などの「防災情報」を高齢者や外国人らに的確に伝えるため、防災行政無線の放送内容をテレビ画面に表示する新システムの実証実験を行った。全国7自治体が提案した情報伝達手段を検証する総務省のモデル事業の一つで、市内で同日実施した防災訓練に取り入れ、有効性を確認した。

 新システムは、防災行政無線を屋内で聞ける戸別受信機と連動する装置を使い、放送を受信するとテレビが起動して画面に情報が表示される。日本語のほか、英語、ポルトガル語、スペイン語にも対応している。市は福祉事業所などに整備して検証した上で、4月から本格的に運用することにしている。

 新システムを整備した特別養護老人ホーム「筑水苑」(同市水海道高野町)では21日、消防庁職員らの立ち合いのもと、震度6弱の地震を想定した防災訓練を実施した。訓練が始まると、事務室にあるテレビのスイッチが自動で入り、余震への注意や避難を促す防災行政無線の放送内容が画面に映し出された。

 筑水苑は平成27年9月の東日本豪雨で建物が1メートルほど浸水した。当時、防災行政無線は聞こえなかったという。長尾智恵子施設長は「どんなときでも情報が入るので安心感があり、早めに対応できる」と語った。

 防災行政無線の整備率は全国自治体の約8割といい、消防庁防災課の鈴木健志課長補佐は「全国展開しやすく、防災行政無線を使う自治体は参考にしやすい」と期待を示した。

 常総市は多言語対応のスマートフォンアプリも開発し、4月以降に市民が利用できるようにする。アプリは無料でダウンロードでき、防災行政無線の放送内容を音声で聞けるほか、被災状況を撮影した写真を投稿できる機能も備える。

 システムやアプリの開発などにかかる費用は6900万円で、総務省が負担する。検証結果をとりまとめ、総務省が災害情報伝達手段の整備に関するガイドラインの改訂に役立てる。(海老原由紀、写真も)