【著者は語る】世耕石弘氏「近大革命」 志願者数日本一を実現した広報術


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 □近畿大学総務部長・世耕石弘氏

 少子化で18歳人口が減る中、近畿大学はこの10年で受験生の数を2倍に伸ばし、早稲田や明治を抜いて4年連続で志願者数全国1位を続けています。かつては関西でも決して人気校とは呼ばれなかった近大が、なぜここまで変わったのでしょうか。その大逆転の戦略的広報術を語ったのが本書です。

 おかげさまで近大が志願者数日本一を達成して以来、あちこちから講演依頼が舞い込むようになりました。この2年間だけでも150回以上の講演を行い、ビジネスマンから行政マンまで延べ約3万人の前でお話をさせていただきました。

 当初は、世界で初めて完全養殖に成功した「近大マグロ」の質問ばかりされました。「うまくPRしましたね」「あれで志願者数を伸ばしたのですか」という見方です。

 しかし、一般企業の成功事例をみても、広報や広告だけでブランド力が高められたことなどありません。アピールすべき高い技術力や商品力がなければ一過性で終わってしまいます。近大にも長年の研究成果や地道な教育改革の結果があったからこそ、広報や広告の力を発揮できたと思うのです。

 私たちはまだ、固定化された大学の序列の中に安住して国際競争力を失いつつある大学界の現状を打破するところまでは来ていません。ただ、私たちの挑戦が、日本の大学経営と広報戦略を変え、ひいては大学教育そのものを変えつつあるという自負はあります。

 なぜ、既存の秩序を壊さねばならないのか。なぜ、非常識とまで言われるほどの広報戦略が必要なのか。本書では、私たちが奮闘してきた軌跡と、その舞台裏について明らかにしました。大学関係者だけでなく、古くさい常識や序列に縛られている中堅メーカー、地理的なハンディを背負った地方の企業・自治体、あるいは、業界のしがらみに悩むベンチャー企業の皆さんにこそ、読んでいただきたいと思います。(1404円 産経新聞出版)

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【プロフィル】世耕石弘

 せこう・いしひろ 奈良県出身。1992年に大学卒業後、近畿日本鉄道(現近鉄グループホールディングス)入社。広報担当課長だった2007年、祖父が創設した近畿大学へ。入学センター入試広報課長、広報部長などを経て17年4月から現職。この間、広報や広告を通じて大学の知名度アップとブランド力の向上に努めるイメージ戦略、広報改革を次々と手掛け、志願者数4年連続全国1位の立役者となった。兄は経済産業相の世耕弘成氏。