「頑張りすぎてしまった人たちに」 「銭湯図解」描き続ける塩谷歩波さん 休職中に心身癒やしてくれた銭湯に恩返し (1/4ページ)

塩谷歩波さん。昭和の風情ある小杉湯の前で=杉並区高円寺北
塩谷歩波さん。昭和の風情ある小杉湯の前で=杉並区高円寺北【拡大】

  • 塩谷さんの作品「小杉湯図解」

 各地の銭湯を訪ねて、精密さと暖かみを兼ね備えた独特なスタイルのイラスト「銭湯図解」を描き続ける女性がいる。塩谷(えんや)歩波(ほなみ)さん(27)。会社を病気で休職していたとき、体と心を癒やしてくれた銭湯の魅力をイラストにしてSNSで発信したところ、話題を集めた。退社して東京都杉並区高円寺北の銭湯「小杉湯」のスタッフに転身し、今は番台仕事の傍ら絵筆を走らす日々。作品を見て銭湯に足を運ぶファンも増えている。

 塩谷さんは平成27年、早稲田大学理工学部を卒業し、有名設計事務所に就職した。ハードな職場だが、やりがいを感じていた。将来は海外に事務所を構える建築家になるのが夢。徹夜もいとわず、栄養ドリンクを何本も飲んで頑張ったが、体に異変が表れた。

 入社2年目、極度の貧血に襲われた。目が回り、人と話すとろれつが回らなくなることも。医師に低血糖症と診断され、休職を勧められた。

 職場で頑張っている同期の姿をSNSで見て焦燥したが、体が言うことを聞かない。そんなとき、医師の助言や友人の勧めで銭湯の効用を試すことにした。

 「温と冷の交互浴で体が良くなっていく感覚を知った。私にとっては大発見。銭湯はしゃべらなくても人の温もりが感じられる場所です。それが休職中の支えになった」