求人倍率高水準 待遇差別化、3%賃上げ焦点 人手不足感が企業を後押し (1/2ページ)

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 2017年の有効求人倍率が44年ぶりの高水準となったのは、景気回復で企業の人手不足感が強まっているためだ。労働需給の逼迫(ひっぱく)で企業の人材確保が難しくなる中、優秀な人材を囲い込むためには賃金など待遇面で差別化することが欠かせない。今春闘では安倍晋三首相が経済界に求める3%の賃上げを実現できるかが焦点だが、人手不足感の強まりが企業の背中を押す可能性もある。

 「政府としてはアベノミクスを加速し、国民生活に直結する雇用環境の改善を図っていく」

 菅義偉官房長官は30日の記者会見で、昨年の有効求人倍率が歴史的高水準となった状況を受け、経済を最優先に、引き続き雇用改善に取り組む姿勢を示した。

 それもそのはず。一般的に、人手不足感が強まれば、労働市場は、求職者に有利な「売り手市場」になり、そうなるほど賃金は上昇しやすい。賃金などの待遇が良い企業ほど求職者の入社意欲が高まるからだ。

 足元の労働市場は、17年12月の有効求人倍率が43年11カ月ぶりの高水準まで改善するなど、「労働需給が非常にタイトな状況」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)にある。

 労働需給が逼迫するほど企業間などで人材の奪い合いになる。とりわけ優秀な人材確保を目指す企業にとっては、賃金など待遇面の改善が欠かせず、労働需給の逼迫は賃上げを後押しする材料になり得る。実際、春闘の本格化を前に3%賃上げを決めた企業も多く、前向きな姿勢に転じる経営トップも増えつつある。

春闘相場を引っ張るトヨタは