【書評】『自民党秘史 過ぎ去りし政治家の面影』岡崎守恭・著


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 ■教科書に載らない逸話の数々

 かつて政治は、首相の座を目指す男たちの愛憎劇そのものだった。札束が乱れ飛んだ自民党内の権力闘争はその後、猛烈な批判を浴びたが、ある意味では人間臭いドラマでもあった。その主役たちを直に知る元政治記者が、舞台裏の一端を明かした一冊だ。

 現職の首相だった大平正芳氏の死に際してライバルの中曽根康弘氏が見せた涙、子飼いの議員に裏切られた田中角栄氏が、それでも吐いた強気の一言、人柄の良さで知られた小渕恵三氏が首相在任時に見せた本性…。おそらく歴史の教科書に載ることはない逸話の数々は、まさに「秘史」。永田町の住人でなくとも、興味深い作品だろう。(864円、講談社現代新書)