元社畜の中年が「新社会人に贈らない言葉」 私の新人時代は生き地獄だった (1/4ページ)

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【常見陽平のビバ!中年】

 意識高い系ウォッチャーにとって、春はたまらないシーズンだ。成人式、就活、卒業式、異動や転職、入学式や入社式など、意識高い系が決意表明やエールなどをSNSで発信する季節だからだ。意識低い系のヤフコメおじさんが罵倒するのも味わい深い。

 そんな中、担当の超絶美人編集者K嬢(Perfumeのかしゆか似)から、「新社会人にエールを!」という意識の高いオファーを頂いた。サンケイグループといえば、毎年、産経新聞が成人の日に若者に対して上から目線の社説を書いていることで知られている。自分にはそんな殊勝な言葉は贈れない。

 せめてもの慰めに、ダメ新人だった時代の思い出を書きとめ、中年から若者へのエールとしよう。特に新人時代に、上司やお客様から学んだことを伝えることにしよう。ちょうど先日、単著『社畜上等!』(晶文社)を発表したばかりなので、ぜひあわせて読んでもらいたい。(働き方評論家 常見陽平)

◆「将来は起業したい」大望を抱き入社

 「20代を熱く生きたい」「成長したい」「社会を変えたい」-そんな意識の高い理由で私はリクルートに新卒入社した。当時を思い出すと恥ずかしくなった。「将来は起業したい」と思っていたので、そのための経験を積み、人脈と軍資金をつくるには最適なステージ(という表現も意識が高い)だと考えたのだ。最終面接でも取締役に「この会社は胡散くさい」「3年で辞めますけど、いいですか?」と暴言を吐いたが、内定が出た。

 「会社とビジネスパーソンは対等な関係であるべきだ」。そう考えた私は、内定式をボイコットした。実際は大学の講義があったからなのだが、在学中の時間は1時間でも会社に捧げたくないと考えたのだった。内定者アルバイトや、同期の飲み会にもできるだけ行かなかった。だから、『天空の城ラピュタ』なみに浮いてしまった。いまだに同期と話すのは、ちょっと緊張するし、引け目を感じてしまう。

新人時代は、生き地獄だった