JALの地上職員は小さな「っ」を使わない “究極のサービス”はこうして生まれた (3/5ページ)

画像はイメージです(Getty Images)
画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 取材をしてみると、「ここまでやっているのか」「こんなところまで見ているのか」「こういうことを考えているのか」という驚きの連続だった。なるほど、こんなふうにしてJALらしい「心づかい」は実践されていたのかと驚かされた。

 JALでは、目指すべきグランドスタッフの仕事をこう定義している。

 「お客さまに寄り添う」

 スピーディーに、正確に、しかも笑顔で、乗客に寄り添う。同社の行動哲学「JALフィロソフィ」をベースにしながら、この難しい仕事に挑んでいるのが、グランドスタッフなのである。

 新入社員の訓練はわずか2週間

 取材前、想像していたのは、さぞや教育に時間がかかっているだろうな、という思いだった。しかし、驚かされたのは、新入社員の訓練はわずか2週間ほどしかない、ということだ。

 ともすれば、チェックインカウンターや搭乗ゲートでの対応は、すべてマニュアルでガチガチに固められているのではないか、というイメージを持つ人もいるかもしれないが、それも違う。

 もちろん身だしなみや立ち居振る舞いに関しては厳しい指導が行われる。ちょっと前まで、のんびりと学生生活を送っていただけに、キリッとした、あの空港での立ち姿がすぐにできるはずがない。JALのグランドスタッフのためだけに作られた「JALスタイルブック」をベースに、担当教官の厳しい指導のもと、徹底的に鍛え上げられる。落ちているゴミの拾い方ひとつとって見ても、ふさわしい動きと、そうでない動きがあるという。

 しかし、接客についてはそうではない。もちろん基本的なルールがあり、それは指導されるが、マニュアルはない。そのときどきにおいて、ふさわしい対応を心がける、というのが、JALの考え方なのだ。

 訓練後は職場に戻り、上司や先輩に学びながらのOJTを通じて、自分なりのサービスを作り上げていく。そして、そのベースになるのが、破綻後のJAL再生の礎になった行動哲学「JALフィロソフィ」である。ここから、調査ランキングで1位に選ばれるような接客サービスが生まれていったのだ。

おもてなしの接客10原則