西武船橋店、半世紀の歴史に幕 「寂しい」「私の青春」惜しむ声

西武船橋店閉店の日、営業開始前から長い行列ができた=2月28日、千葉県船橋市本町(塩塚保撮影)
西武船橋店閉店の日、営業開始前から長い行列ができた=2月28日、千葉県船橋市本町(塩塚保撮影)【拡大】

  • 西武船橋店閉店の夜、正面のシャッターが下ろされた=2月28日、千葉県船橋市本町(塩塚保撮影)

 千葉県内の百貨店の灯がまた一つ消えた。西武船橋店(千葉県船橋市本町)が28日、閉店した。昭和42年、JR船橋駅南口に開店して50年。半世紀にわたって商業施設のシンボルとして市民に親しまれてきたが、地域における競合環境が厳しく、営業を終了した。

 午後8時すぎ、従業員らが買い物客を見送り、シャッターが下りた。同店は「混乱を避ける」として閉店セレモニーは行わなかった。

 営業最終日の朝、正面入り口前には約300人の行列ができた。一番乗りした山口万里さん(37)は「愛着のある店です。閉店はショック。悲しいが、『今までありがとう』といいたい。今日は衣料品と食品をまとめ買いします」と話した。

 最終売り尽くしセールとあって、開店と同時に買い物客でにぎわった。同店によると、今年2月の売上高は前年の2・5倍にのぼったという。

 地下1階の特設会場では思い出メッセージ展が開かれた。約1200人が船橋特産の梨をデザインした専用用紙に「通勤の帰り、買い物を楽しんだ。寂しくて仕方ない」「なんでなくなっちゃうの。悲しいよ」「20歳の時、開店。私の青春とともにあった」などと記入した。船橋市の非公認キャラクター、ふなっしーも「楽しいおもいでありがとうなっしー♪」と書き込んでいた。

 同店は西武百貨店の多店舗化の一環として昭和42年、開店した。最盛期には売上高551億円(平成4年2月期)に達したが、地域における競合環境が厳しく、直近の売上高は169億円(平成29年2月期)と、ピーク時の約3割に減少した。跡地については複合施設化が検討されているが、同店によると、具体的な構想は未定という。

 三井田豊店長は「多くのお客さまから格別のご高配を賜り、お礼を申し上げる。支えていただいたご恩に従業員一同深く感謝します」としている。

 また、松戸徹市長は「船橋市の人口急増期に開店し、半世紀にわたって船橋駅前の商業施設のシンボルとして市民に愛され、にぎわいを作っていただいた。閉店は残念だが、大きな貢献に感謝する」とコメントしている。(塩塚保)