「また同じこと言ってる」社長こそが一流 大企業に勝てる中小企業の特徴 (3/4ページ)

画像はイメージです(Getty Images)
画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 「たくさんいろいろ」より「ひとつを繰り返し」

 たくさんのテキストを使って、たくさんのことを勉強するのではなく、少ないテキストを使い、同じことを何度も繰り返すほうが人は成長します。

 たくさんのことを教えると、どれも中途半端になりやすい。

 小学1年生で野球、2年生で陸上、3年生で水泳、4年生でバスケットボール、5年生で卓球、6年生でサッカーを教えても、結局どのスポーツもうまくなりません。

 ですが、ひとつのことを継続すると、圧倒的に上達します。王貞治はバットを振り続け、美空ひばりは歌い続け、千代の富士は四股を踏み続けたから、国民栄誉賞を受賞できるレベルになれたのです。

 中小企業が大企業に打ち勝つには、「回数(量)」で勝負するしかありません。質の低い社員で、継続的に30年間勉強させている会社と、優秀な人が入ってきても30年間教育していない会社とでは、結果として大きな差が出ます。

 中小企業の人材育成では、たくさんのことを教えるよりも、ひとつのことを繰り返し教えることが大切なのです。

 社員から、「また同じことを言っている」と言われている社長が、一流の社長なのです。教育内容をしょっちゅう変えるのがダメな社長に見られる傾向です。

 会議でベラベラしゃべっている社長もダメ

 普通の会社は、会議を行うとき、社長から話し始めます。ところが社長は現場に出ていないため、お客様の情報も、ライバルの情報も持っていません。そうして現場を知らない社長がトンチンカンな指示を出している以上、いつまでも業績は上がりません。

 武蔵野も赤字のときは、社長の私が一番に話を切り出していましたが、16年連続増収企業となっている今では、「現場のことがわかっている社員」、つまり職責下位から発言するしくみとなっています。

 せっかく良い情報を持っていても、立場上、あるいは性格上、発言しない人がいては組織の損失となります。

 そのため武蔵野では会議で発表があるときは、上司の意見に迎合することがないように職責下位から順に発言するようにしたのです。

会議は、話し合いをする場ではない