定義付け自体に無理がある…識者も落胆した“同一労働同一賃金”のウソ (1/3ページ)

 いざというとき、自分の身を守ってくれるものは何か。その筆頭は「法律」だ。「プレジデント」(2017年10月16日号)の「法律特集」では、職場に関する8つのテーマを解説した。今回は「従業員の給料格差」について--。

 研修のあるなしで、格差を是認

 2016年12月に提出された「同一労働同一賃金ガイドライン案」を読んで、心底落胆した。ガイドライン案には、こと細かく「問題とならない例」と「問題となる例」が分類して示されているが、定義付けの議論に終始している限り、同一労働同一賃金の実現は極めて疑わしいからだ。

 そもそも定義付けを行うことは、現実的ではない。実際に「有期雇用労働者及びパートタイム労働者」の基本給を、労働者の職業経験や能力に応じて支給する場合の例を見てみよう。

 正社員を対象に特殊なキャリアコースが設定され、選択した正社員は職業能力がアップし、それに応じた基本給の支給を受ける。一方、パートタイマーには同キャリアコースが設定されておらず、職業能力アップの機会もなく、そのため基本給は正社員よりも低いまま。この場合の賃金差は「問題とならない例」だとしている。

 確かに、正社員のキャリアアップのために研修を実施している企業は少なくないし、その対象は正社員のみとするケースがほとんどだろう。ということは、「たとえ同一労働であっても、研修の有無によって同一賃金でなくてもいい」というケースがきっと多発するだろう。

思い起こさせる「専門26業務」騒動