【Luxeな日本~地元発】「運命の蚕」が結ぶ恋の玉繭と牛首紬 中村直美

中村直美
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  • 恋のお守りとして人気の「恋まゆ」。中には玉繭が入っている
  • 2匹の蚕が共同で作った玉繭(右)と通常の繭
  • 着物ファンに根強い人気の牛首紬
  • 節が特徴の牛首紬

 1個の繭は1匹の蚕が作る。だが、まれに2匹が一緒に1つの繭を作ることがある。玉繭だ。全体の2~3%にすぎない玉繭の糸を使った伝統織物が、かつての牛首村、現在は石川県白山市白峰の牛首紬である。

 2本ある玉繭の糸の絡まりが生む表面の不規則な節。独特の光沢。「釘にひっかけても破れずに釘の方が抜ける『釘抜き紬』」といわれる強さもあってファンは多い。パリ・オートクチュールコレクションでの採用されるなど海外の評価も高い。

 牛首紬の袋に玉繭を入れた「恋まゆ」も注目されている。「玉繭になる2匹の蚕は何度引き離しても、寄り合って繭を作る。逆に適当に選んだ2匹は作らない。玉繭を作る2匹は雄と雌という大学教授もいた」。ある物産展で牛首紬の織元、西山産業開発の西山博之専務の解説を聞いた若い女性から「お守りにしたい」との声が相次ぎ、特別に玉繭を譲った女性2人が翌年、結婚報告にきた。これが恋まゆ誕生のきっかけだった。

 昨年の白山開山1300年記念の祭りでは限定50個が2日で完売したものの、西山氏には「大切に売りたい」との思いもあり、販売場所は限っている。

 800年の歴史を持ち、戦後は消滅の危機にも瀕(ひん)した牛首紬だが、玉繭とともに21世紀の今も新たな伝統を刻んでいる。

 【luxe(リュクス)】 フランス語で元の意味は「贅沢」。最近は優雅で上品でありながら、洗練された贅沢なもの・ことなどの意味で使われる。

<プロフィル>

 なかむら・なおみ 長崎文化放送、NHK長崎を経て、現在、FM NACK5でニュースアナウンサー、各種司会として活動中。

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