ヘルスケア

“快食・快眠・快便”でなければ注意を うつ病、発見のカベは「誤解と先入観」だ (3/8ページ)

 患者側の理由--正常と異常の境界があいまい

 2つ目は本人や家族など患者側の理由です。そこそこ人生を過ごしてくると、「憂うつ」という感情はだれもが必ず経験します。ではこの憂うつな気分とは、どこまでが正常で、どこからが異常なのでしょうか。

 うつの初期症状は、正常時にも起こる一時的不調とごく類似しているため間違いやすいのです。つまり正常と異常の境界があいまいなのです。そのために「そのうち治るだろう」とか「気のせい」と、甘くとらえがちです。異常かどうかを判断するひとつの基準は、そうした気分の不調が2週間続くかどうかだと言われています。

 2013年に改訂された代表的診断基準の一つであるDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:精神障害の診断と統計マニュアル第5版:アメリカ精神医学会)は、正常と思われる悲哀(喪失・死別)反応も2週間持続すると、場合によっては大うつ病とできると大胆に変更し議論を巻き起こしました。私も、親しい人を失った精神の反応は、うつ病そっくりであることは首肯できますが、回復の時間は個人差があると思います。

 私は、個人の経験も含めて、死別反応に関してだけは、精神的不調が6~8週間続くかどうかを診断の基準のひとつにしています。たとえば仏教では「初七日」から四十九日に至る七七日の儀式など民間の知恵もありますね。

 このように正常と異常の境界のあいまいさこそ腹痛などと違い、患者本人や家族にうつを見えなくしています。結局、「動けなくなる(抑制が強くかかると精神医学では表現される)」という強い症状や、「刃物をじっと見つめている」などの、家族もわかるほどに状態が悪化するまで気付かれないことも多いのです。

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