“快食・快眠・快便”でなければ注意を うつ病、発見のカベは「誤解と先入観」だ (4/8ページ)

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 医師側の理由--体の不調が先行する

 3つ目は医師側の理由です。うつ病の8~9割は、体の不調を訴え一般科(内科や婦人科などの精神科以外)を受診するという驚くべき報告があります。これらは「仮面うつ病」と呼ばれています。

 そのとき、一部の医師は、うつ病という知識が希薄なため、適切な診断を下せないようです。一般医にとって、うつ病の診断が難しいのは、医学的症状や科学データ(肝炎であれば、黄疸とAST値が高いなど)がほとんどない病気だからです。またうつ病の診断では、面接で微妙にただよう独特の雰囲気を感知せねばならず、最低数年は精神科医として厳しい訓練を受けなければ、感覚が身につかないということがあげられます。

 私が若い頃指導を受け、尊敬する精神療法の達人・神田橋條治医師は「うつ病を気分で判断すると間違いやすいよ~」と口を酸っぱくして言っておられました。そうでしょう。受診する行為自体が、心配で、不安で、暗く不快な気分になるものですから。

 わが国は自由標榜制なので、開業する際にどの科を看板に掲げるかは自由です。最近は、うつ等の診断の訓練をあまり経ずに、心療内科や神経科という標榜科目で開業する先生も多い印象があります。「デモシカ精神科医(心療内科医など)」と私は心の中で呼んでいます。

「わからない」を正直に伝えることこそ良医