仕事・キャリア

社長から「抜擢される人」の3条件 6人の経営トップの「まわり」から考える (5/5ページ)

 社長にもズバズバ言う

 ストライプインターナショナルのグローバル戦略ブランド「koe」の事業部部長に抜擢された篠永奈緒美さんも、サプライズな話をしていた。もともとズバズバとモノを言うタイプ。入社時点から、言えるキャラを形作ってきたという。

 「入社のときから、宇宙人とか外国人みたいなイメージがあったようなんです。なので、ああ、じゃあ、もうそれでいこう、と思って(笑)」

 ミーティングでも思い切った行動に出る。

 「今日決めたいことをまず言います。時間がもったいないですから、石川が席に座らないうちに『今日のアジェンダは……』と話始めることも少なくないです。それから。ひとつ目の話が始まって長くなったりすると、もう切っちゃいます(笑)」

 経営トップには時間がない。次のアポイントのためにミーティングが打ち切られてしまうこともある。時には、駐車場までついていったり、東京駅まで一緒に行ってしまったりしたこともあるとか。

 社長を「あっ」と言わせる

 中川政七商店でデザイナー、さらには園芸ブランド「花園樹斎」のブランドマネジャーに抜擢された渡瀬聡志さんはこんなことを語っていた。

 「うちの会社のモノづくりのやり方って、基本的に温故知新なんです。どんなタイプの温故知新をやっていくか、です。平たく言えば、こういういわれがあって、それを現代の流れの中に置くとどうなるか、と。それを、どのパターンで作っていくか、というものを常に意識しています」

 ただ、一方でこだわっていることがある。

 「“あっ”と言わせてやろう、というのは常にありますね。ヘンにまとめらないように考えています。割とまとまるタイプなので、そこは意識しています」

 同じく中川政七商店の執行役員バイヤー、細萱(ほそがや)久美さんの言葉はとても印象的だった。入社10年。執行役員への抜擢は、およそ想像していなかった。

 「本当に“商店”という規模のところに入ったつもりでしたし、いろんなモノづくりを学んでいこう、くらいのつもりでしたので。出世欲よりも、自分がやりたいことをやらせてもらいたい欲のほうが強いんです。やっぱりモノが大好きなので、いい商品を作って、お客さまに喜んでもらえる。それが、やりがいがあり、楽しい仕事です」

 出世欲のない人が抜擢され、出世していく。これもまた、ひとつのサプライズであり、ひとつの本質かもしれない。優れた「社長のまわり」に、学べることは多い。

 上阪徹(うえさか・とおる)

 ブックライター。1966年兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。これまでの取材人数は3000人超。著書に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)他多数。

 (ブックライター 上阪 徹 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

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