東大が調べてわかった老いの入り口 滑舌の悪い人は“死亡リスクが2倍”のワケ (2/4ページ)

 口の機能低下は全身の筋肉量の低下

 しかし、硬いものを避けて柔らかいものしか食べないと、噛む筋肉が衰えていき、来年はもっと噛めなくなります。ふだん意識することはほとんどないでしょうが、「噛む」「飲み込む」などの口腔機能は筋肉によって維持されていますから、腕や脚と同じように筋肉量が減れば口にかかわるすべての機能が衰えます。これが、全身への負の連鎖を生むのです。

 口の衰えから食欲の低下や食べられる食品の減少を招くと、特に硬い肉類を避けるようになります。すると、たんぱく質量の摂取不足をおこして、さらに全身の筋肉量が減少します。筋力が衰えれば口に関わるすべての機能はさらに衰えていき……と、この積み重ねが悪循環となって、全身の機能低下を進行させて死亡リスクを高めます。オーラルフレイルは体全体の衰えにリンクしているのです。

 舌の活躍なくしては飲み込めない

 80歳になっても歯を20本以上保とうという8020(ハチマルニイマル)運動の達成者率は、「平成28年歯科疾患実態調査」によれば51.2%です。しかし、上下の歯がそろっていなかったり、噛み合わせが悪かったりすると、せっかく歯が20本残っていてもうまく食べることができません。

 実は私の患者さんの中に、歯が1本もなく、歯茎だけで食べているのに栄養状態が良好な人がいます。不思議でしょう? なぜかといえば、その人は咀嚼力があり、嚥下(えんげ)機能がしっかりしているから。

口の機能は歯の本数だけでは決まらない