ガチ競争で立身出世、平均年収500万円超 江戸のサムライマネー事情を解き明かす (1/4ページ)

 江戸時代の武士は現代のサラリーマンより豊かに暮らしていたのか。マネー事情や出世競争は? 当時の実情に詳しい識者に聞いて解き明かす。

 1両あれば、1カ月は暮らせた

 江戸時代、武士の給与は先祖から受け継いだ「家柄」によって決まっていた。これを「家禄」という。当時はコメ本位経済で、年貢の量、身分などすべてがコメで管理されており、給与についてもコメの量で提示された。

 コメを量る単位は「石」「俵」「斗」「升」「合」(※)。土地の標準的な収穫量は「石」を用いた「石高」を基準にし、「石高制」と呼んだ。

 ※1石=10斗=100升=1000合≒180リットル 1俵=3斗5升or4斗

 「通貨に換算すると1石は、だいたい金1両という相場でした。江戸時代は1両あれば、なんとか1カ月暮らせるといわれていました。いまよりはるかに質素な暮らしぶりですが、現代価値で10万~20万円程です」

 そう説明するのは、歴史学者で国際日本文化研究センター名誉教授の笠谷和比古氏。

 では、武士の平均的な給与はどのくらいだったのか。

 「幕府に直接仕える武士は、将軍に挨拶できる『旗本』(約5000人)とその資格のない『御家人』(約1万5000人)に分かれます。このうち旗本と御家人との境目は家禄100石あたり。この階層で給与を考えたとき、税率は三ツ五分(35%)が基本なので35石が手取り収入となります。35石は現代では年収500万円を少し超える計算です」(笠谷氏)

戦がなくなり働き方に「変革」