原因別では、最多は「販売不振」の12件(前年度比33.3%増)で、全体の6割(構成比60.0%)を占めた。次いで、「既往のシワ寄せ」が4件(同300.0%増)。
形態別では、事業消滅型の破産が19件(同90.0%増)と全体の9割(構成比95.0%)を占めた。いったん顧客離れが進んだ歯科医院の再建は容易でないことを示している。再建型の民事再生法は1件(前年度同数)だった。
従業員数別では、5人未満が18件(前年度比80.0%増、構成比90.0%)と、小規模医院が全体の9割を占めた。このほか、10人以上20人未満が1件(前年度ゼロ)、20人以上50人未満が1件(同ゼロ)と続く。
◆患者は減少しているのに増える医院
泉川歯科医院(茨城県)は、地域に根差した歯科医療機関として知られていた。2014年3月期の売上高は5376万円を計上したが、競合や過疎化で患者数が伸びず、2017年3月期の売上高は4746万円まで低迷。さらに東日本大震災の被害に伴う新診療所の開設が負担となり債務超過が拡大し、事業継続を断念。2018年3月、水戸地裁より破産開始決定を受けた。負債総額は8700万円。
歯科医師国家試験の合格者は2017年が1983名で、ここ10年間では2010年の2408名をピークに毎年2000名前後で推移している。
一方、日本の人口は2008年をピークに減少をたどり2017年10月1日時点では1億2670万人と前年比0.18%減で減少率は広がっている。国立社会保障・人口問題研究所によると、将来人口(中位推計)は2055年に1億人を割り込む見込みで、経営環境の改善は難しいのが実情だ。