【がん電話相談から】乳がん再発、抗がん剤治療しなくていい?

 Q 52歳の母は4年前、乳がんで右乳房を全摘しました。ホルモン剤ノルバデックスの服用を続けてきましたが、1カ月前、腫瘍マーカーが上昇し、コンピューター断層撮影(CT)検査で肝臓、肋骨(ろっこつ)に多数の転移が見つかり、4年前の乳がんの再発と診断されました。母が抗がん剤を拒否したのでホルモン剤アリミデックスの内服を開始しましたが、CTでがんの増大が確認され、別のホルモン剤を使った治療に変更予定と聞いています。このまま抗がん剤治療を行わなくていいのでしょうか。

 A ノルバデックス内服中に転移が分かったということは、ホルモンに抵抗性、少なくともノルバデックス(抗エストロゲン薬)に抵抗性のがんということです。治療には薬の変更が必要ですが、転移が命にかかわるのかどうかが問題となります。骨転移のように、ただちに命を脅かすわけではなく、時間に余裕があるような転移であれば、ホルモン剤の中で変更して治療するのがいいでしょう。その場合、新たに認可された分子標的薬イブランスとホルモン剤の併用も選択肢としてよいかもしれません。

 しかし、今回の多発肝転移のように、増悪すると命の問題に発展するような転移では、短期間に効果が得られる抗がん剤を選択すべきだと思われます。

 Q 母は抗がん剤への抵抗が強いです。

 A 肝転移が大きくなると、肝機能が低下して薬の解毒ができず、それ以上継続して薬を使用することができなくなります。つまり抗がん剤を使うタイミングを逃してしまうのです。乳がんは、比較的薬が効きやすいがんです。効果のある薬剤を使わないまま、体が衰弱して使えなくなってしまうようなことは避けたいです。抗がん剤を使いたいという人は誰もいませんが、周囲の人が、その重要性をきちんと説明して説得すべきだと思います。

                   

 回答には、がん研有明病院の岩瀬拓士乳腺外科前部長が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力:がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、(電)03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。相談が本欄に掲載されることがあります。