行きつく先は「意味のイノベーション」か ローカリゼーションの位置づけ (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 この10年以上、ローカリゼーションをテーマに仕事や研究をしてきた。2005年前後、アイルランドの企業のコンサルタントだった。欧州市場向け電子デバイスのユーザーインタフェースのユーザビリティやローカライズを商売のネタとして、日本の自動車メーカーやカーナビメーカーなどとお付き合いをしていた。

 その際、マーケティング担当はさておき、商品企画やデザイン部署の人たちが米国市場のローカリゼーションを優先し、欧州市場のそれを後回しにしていることに気がついた。「米国の方がお金になる」「言語が欧州ほどには複雑多岐にわたらない」というよくありそうな理由の背後に、「欧州文化を相手にするのは面倒」という本音が見え隠れする。

 そのうち欧州文化に関するアカデミックな本や生活記録編の本は多いが、ビジネスパーソンが欧州文化をどう理解すると良いかの本はない、と知った。

 2008年に出した『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』は、このような経緯で生まれた。その次は2011年『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか』で日本の大企業のローカリゼーション戦略を紹介した。

 実はその頃、世の中には「いまや世界はグローバルにフラットである」「ローカリゼーションは古臭い、時代に逆行するアプローチだ」との声がまだ根強く、上記の本を出し講演会などをスタートさせたが、「なぜ、ローカリゼーションなの?」という質問は少なくなかった。

 この連載コラムも啓蒙を目的に、その時期に開始した。

クールジャパン政策の綻び