働き方改革法成立 70年ぶりの大改革は過労死の歯止めとなるのか


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  • 参院本会議で働き方改革関連法が可決成立し議場に一礼する加藤勝信厚生労働相=29日午前、国会(春名中撮影)

 昭和22年に制定された労働基準法の約70年ぶりの大改正となる働き方改革関連法は、これまで“青天井”だった時間外労働(残業)の上限を決め、違反に罰則を設けたことが特徴だ。繰り返される過労死の歯止めとなるか。

 「過労死(karoshi)」が初めて英語の辞書に掲載されたのは平成14(2002)年。日本の長時間労働は国内外から批判の的だった。毎月勤労統計調査によると、労働者(パートを除く)の平均年間総実労働時間は、20年のリーマンショックによる不況でいったんは下がったものの、ここ10年間、約2千時間で推移。1500時間以下の欧州などと比べ、高止まりの状態が続く。

 精神疾患による過労自殺者(未遂を含む)で労災認定されたのは28年度で84人、近年は90人前後で、減る気配はない。特に働き方改革を後押ししたのは、27年に過労自殺した大手広告会社、電通の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=の違法残業だった。月の残業は100時間を超え、1日2時間の睡眠を強いられ鬱病を発症した高橋さんのケースは、電通を罰する刑事事件に発展した。

 これまでは労使協定で何時間でも残業上限を決めてよかったが、働き方改革では、告示で示していた残業上限「月45時間、年360時間」を法律に格上げし、原則とした。繁忙期でも「月100時間未満、2~6カ月で月平均80時間以内」と定め、違反した場合、懲役6カ月以下または30万円以下の罰金が科せられる。

 ただ、これは労災認定の基準となる「過労死ライン」とほぼ同じだ。さらに診療を断れない応召義務のある医師や、人手不足の建設業や運送業は規制が5年間猶予されており、抜け穴になる懸念も指摘される。