維持できれば実は良いほう…転職先、「年収」で選ぶと大失敗するワケ (1/6ページ)

 人手不足のニュースが流れ、転職のCMが目に付くこの頃。転職のチャンスと早とちりしてはいけない。人口の減少と産業構造の劇的な変化で転職の常識は大きく変わりつつある。

 「外食産業、建設会社は採用に非常に苦戦」

 深刻な人手不足が続いている。有効求人倍率は1.59倍(2018年1月)と10カ月連続、バブル期の最高水準1.46倍(1990年7月)を超えている。

 人手不足の大きな原因は景気がいいからというよりも人口の減少だ。18年で定年を迎える人が多い1958年生まれ(60歳)が165万人なのに対し、大学を卒業する年頃の1996年生まれ(22歳)は120万人。45万人も少ないのだ。

 「実感としても外食産業、建設会社は採用に非常に苦戦しています。あと中小企業や地方の企業も。新卒採用しようとしても、そもそも応募者が来てくれないなんてことも」と語るのは転職エージェントの森本千賀子さん。

 働く人を確保できず、受注したくても受けられない。予定していた仕事もこなすことができず、売り上げが落ちてその結果経営が破綻する、いわゆる人手不足倒産が増えているという。

 その一方で、メガバンクは3行合わせて3万人を超える人員削減に取り組んでいる。業績不振が続く電機業界でもNECが国内8万人のグループ社員の約4%に当たる3000人の希望退職を募り、富士フイルムホールディングスも国内外で1万人の人員削減。店舗閉鎖や業態転換と苦しい百貨店、ジェネリック医薬品の台頭で厳しさを増す大手製薬会社にもリストラの嵐は吹き荒れている。

 つまり今日本では「人手不足」と「人手過剰」が同時に起きているのだ。

人員削減の大きな原因のひとつ、産業構造の変化