西日本豪雨では各地の水道事業者の給水機能がストップし、12府県で一時、最大で27万戸近くが断水し、今も計16万戸以上で断水が続く。愛媛県では、隣接する山の斜面が崩落して施設が埋没して復旧を断念。広島県では病院が節水を余儀なくされ、必要最小限の治療にとどまる。被災地の水不足は、連日の酷暑に追い打ちをかけられるように、深刻な状況に陥っている。
「考えもつかない量の雨が降り、想定を超える土砂崩れが起きた」。愛媛県宇和島市の吉田浄水場を運営する南予(なんよ)企業団の担当者は慨嘆した。
同浄水場は昭和61年に供用を開始し、宇和島市吉田町と三間町(みまちょう)の約6500戸に水道水を供給してきた。しかし、豪雨で周囲の山の斜面が3カ所で崩れ、大量の土砂や流木が、砂防ダム2基を乗り越えて、浄化槽や機械室、浄水池に入り込んだ。このため7日から送水の停止が続いている。
復旧を目指して調査が行われたが、再び大雨が降れば同じような土砂崩れが起きる恐れがあるとして、別の場所での建て直しを余儀なくされた。九州や四国から給水活動の応援を続けているが、両町の水道は復旧が見通せない状況だ。
7日から断水が続いている広島県尾道市の因島総合病院(160床)では、職員が島内の貯水施設まで給水車を往復させ、院内で使用する水を確保している。同院では通常1日100トンの水が必要だが、被災当初確保できたのは3分の1程度の約30トンだった。