【書評】『日本統治下の朝鮮 統計と実証研究は何を語るか』木村光彦・著


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 ■「弾圧」と「収奪」の歴史に疑問

 終戦までの36年間、朝鮮半島は日本の統治下にあった。「弾圧」と「収奪」の歴史と語られることが多いが、それだけなのかという疑問を出発点に、開発経済学者が各種統計を基に書き上げた。近代産業の章では、併合から約20年で、朝鮮人経営の工場が内地人を上回り、朝鮮人自身が近代化の恩恵を受けたことを示唆する。

 一方、著者は「朝鮮統治は費用がかさみ、日本にとって負担だった」という言説についても言及。安全保障の観点から韓国を併合した日本は、比較的低コストで巧みに統治したというのが本書の結論だ。日本統治を知る上での実用書といえる。(中公新書、864円)