【がん電話相談から】胆管がん術前検査について

 Q 51歳の男性です。1カ月前、黄疸(おうだん)の症状が出て、CT(コンピューター断層撮影)、内視鏡的逆行性胆管膵管(すいかん)造影(ERCP)を行ったところ、胆管に小さながんが疑われ、胆管にステントを留置しました。生検の結果、悪性ではありませんでしたが、主治医からがんの疑いがあるので手術した方がいいと言われました。胆嚢(たんのう)、胆管、膵臓の一部、十二指腸を切除する大きな手術になるそうです。どのように治療したらいいでしょうか。腫瘍が良性の可能性はありますか。

 A 胆管は、肝臓で作られた胆汁の流れ道で、十二指腸につながっています。がんやその他の病気で胆管が詰まると胆汁が流れなくなり、黄疸が出ます。このような病態に対して、十二指腸の出口から逆向きに胆管にカテーテルを挿入し、造影剤を流すこと(ERCP)により詰まりの原因を調べることが可能で、がんが疑われる場合には生検が行われます。

 しかしながら、実際に病変を直接見て採取するのではなく、十二指腸まで進めた内視鏡から、生検器具だけを胆管内に入れて、X線透視(レントゲン)をたよりに採取する上、細い胆管に対して接線方向に小さな器具でつまむ作業になるため、1ミリ以下のわずかな検体しか採取できないことが多く、正確にがんと診断できるのは全体の7割程度にすぎません。従って、生検でがんが証明できなくても、CTやその他の画像を含めて総合的にがんを強く疑った場合には、手術をお勧めすることもしばしばあります。

 手術を行わずに経過を見た結果、進行がんで手術できなくなるリスクと、大きな手術を受けた結果、最終的にがんではなかったというリスクのどちらを選択するか、という非常に大きな問題であり、さらなる診断技術の開発が待たれるところです。

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 回答には、がん研有明病院の笹平直樹消化器内科肝・胆・膵内科部長が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力:がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、(電)03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。相談が本欄に掲載されることがあります。