ひと昔前なら、職場で仮眠すれば「洗面所で顔を洗ってこい」などと上司に一喝されそうだ。しかし、ここ数年、社員の健康管理を経営的な視点で戦略的に実践する健康経営が注目されてきた。海外では、グーグルやアップル、マイクロソフトなど米IT大手が仮眠を推奨している。日本でも、これまでプライバシーの領域として自己管理に任せていた睡眠について、企業が積極的に改善を促すようになってきた。
企業向けの睡眠改善のプログラムを提供しているベンチャー企業のニューロスペース(東京都墨田区)は、KDDIや三井物産、東京電力グループのTEPCOi-フロンティアズ(同千代田区)などと実証実験した。プログラムは、都内の心療内科、睡眠外来のクリニックと提携して作成され、睡眠に関するトラブルを解消する。
ニューロスペースの小林孝徳社長は、中学生の頃から睡眠に悩まされており、その経験が起業のきっかけになった。外食、IT、物流などの業界ごとや、夜勤、デスクワーク、立ち仕事などの勤務形態ごとに集めた睡眠に関するデータの収集・分析力が強みとなっている。
快眠ビジネスが盛り上がっているのは、日本人の睡眠時間が減ってきていることがある。