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かつてない和紙アイテムで伝統に革新を[FIVE/富山県南砺市] (1/2ページ)

【ONESTORY】鮮やかな蛍光色に染められた、メモ帳やブックカバーなどの使いやすいアイテム。「古くさい」「色が地味」「使いづらいアイテムが多い」といった和紙プロダクトのイメージを払拭するブランドです。

この『FIVE』を生み出したのは、富山県と岐阜県の県境にある“一般財団法人 五箇山和紙の里”。豊かな水と緑に恵まれた深山の里で育まれた手漉き和紙の技を、今の暮らしに馴染むアイテムとして展開しています。

『FIVE』をプロデュースした石本泉(いしもと・せん)氏は、富山県の出身でもなければ和紙職人でもありませんでした。一体どんな経緯で五箇山の地に根をおろして、伝統産業の再興に取り組むことになったのでしょうか?

数奇な運命で“理想の地”に移住。 

約10年前。武蔵野美術大学の学生だった石本氏は、大学の合宿施設がある五箇山をふとした縁で訪れることになりました。「大学の木工科で家具を製作していたのですが、その自由課題で『家具以外のものも作ってみよう』と思い立ったんです。そして手漉き和紙を木から作る工程に着目したところ、教授から『越中和紙に数えられる五箇山和紙の発祥地に、大学の合宿施設(五箇山無名舎)があるから行ってみたらどうか?』と勧められ、五箇山を訪れることになったんです」とのこと。

夏休みのレジャー感覚で訪れた石本氏は、初めて見た五箇山の風景にはからずも圧倒されたそうです。

「深い山と谷が延々と連なる、雄大な風景。かつて旅したチベットを思わせる景観に、『日本にもこんな場所があったのか!』と感動しました。和紙を原料の楮(こうぞ)から作るという工程も、全国的に珍しいものでした。そして『ここに住んでみたい!』と強く思うようになり、ご縁を得て五箇山和紙の里に就職することになったんです」と振り返ります。

好機を生かして攻めの姿勢でチャレンジ。

こうして五箇山に移住して、豊かな自然と理想の風景の中で暮らし始めた石本氏。そんな彼のもとに、ある依頼が舞い込んできました。

「2012年に五箇山がある南砺市から、『地場産業を生かした新商品を開発してください』と依頼されたんです。ですが、そうした補助金事業は成功事例が少ないことを聞いていましたし、ありがちなものを作って終わり、という結果にもしたくありませんでした」。せっかくの機会なのに、後に何も残せなかったらもったいない--そう思った石本氏は、同じ武蔵野美術大学の出身で友人でもあったデザインユニット『minna』に相談を持ちかけたのです。

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