静岡市と内田洋行「働き方改革」で包括連携協定

静岡市庁舎での内田洋行システムエンジニア新人研修
静岡市庁舎での内田洋行システムエンジニア新人研修【拡大】

  • 静岡市企画局次長前田誠彦氏
  • 内田洋行木内麻文部長、長門浩二部長、河合剛史課長(左から)

 人口減に悩む地方都市では、人材流出の抑止や雇用創出など、時間や場所を有効活用するテレワークの推進が求められており、静岡市は東京圏に1時間以内の立地を活かしさまざまな施策を打ち出している。9月に内田洋行と包括連携協定を結び、テレワークを含む教育の質的向上や市庁舎を含めた「働き方改革」を進めていく。

「仕事はそのまま、住まいは静岡」というテレワーク

 「少子高齢化で人口の自然減を食い止めるのは難しいが、未来の市民のために社会減は何とかしなくてはいけないと考えた」。静岡市企画局の前田誠彦次長は、地域の衰退につながりかねない人口減が続く市の現状に大きな危機感をもつ。ピーク時に約73万9000人(1990年)だった市の人口はその後減り続け、2012年には71万3895人と政令指定都市20市の中で最下位となった。大正大学地域構想研究所がまとめた「企業支援による地方移住に関する調査」では、大都市圏に住む30-50代の正社員のうち、「企業の支援を得られるなら地方移住をしたい。検討したい」との回答は約44%を占め、地方に対する興味が高い事を知った。前田次長は「流出は大学進学や就職にかかる18から22歳の若者に多く、東京都、神奈川県等の転出が目立つ。その一方で市外への進学を予定している若者の内、約4割が将来Uターンを希望している事実があり、首都圏等の学校へ市内の実家等からの通学を支援し、地元企業への就職活動をサポートする『新幹線通学費貸与事業』を2016年からスタートした」このようにユニークな施策を打ち、県外からの移住促進を掲げているが、実際の移住は簡単ではなく「仕事と住まいがネックになる。仕事はそのままで住まいは静岡という事はできないか」(前田次長)と考え、静岡市企画局企画課では、テレワーク促進のため有楽町の移住支援センター設置やネットワンシステムズなどさまざまな企業連携を模索してきた。ワンコインで泊まれるお試し住宅や古民家一棟貸しの宿「日本色」(駿河区用宗)は異色の取り組みだ。海沿いの一区画の和モダンの家屋内に大型スクリーンやグループ会議が出来る環境が整っている。さらに行政での「働き方改革」も進めるために総務省行政管理局のオフィス改革などで大きな実績をもつ内田洋行と連携することにした。

 内田洋行の木内麻文ガバメント事業推進統括部長は同市との連携について「包括連携としては教育のICT化を含め地方創生に向けて行政運営の高度化が必要。一方で働き方に着目すると地方自治体の職員の仕事は多種多様で、『働き方改革』を進めるのはなかなか難しい。それを双方のノウハウや知見を合わせることで実現していきたい」と説明する。

静岡市庁舎で「働き方改革」始まる

 このため、今後は、庁舎新館9階フロアスペースのオフィス改善を開始する。同社の長門浩二部長は「フロアスペースに無線のネットワークやクラウド環境を含めた『働き方改革』の実証研究を行う」との考えを示した。さらに内田洋行は9月に、新入社員のシステムエンジニア16人の研修を市役所庁舎で5日間実施。テレビ会議システムを活用して本社との間で、セキュリティーやテレワークの講義を行った。AP技術推進課の河合剛史課長は「包括提携を通して静岡市から近い立場で率直なご意見をいただきながら良いものをつくっていきたい。内田洋行は地方自治体の顧客も多いため、この協定で学んだことを展開していきたい」と意気込む。

 内田洋行はこれまで、民間や文教、官公庁・自治体などにICT(情報通信技術)と環境構築ビジネスを展開し、社会課題解決に向けて、「働き方変革」と「学び方改革」、「場と街づくり変革」を提唱してきた。こうした背景から前田次長は「テレワークの調査や研究は始まったばかりだが、これから先大きな可能性は秘めている。少しでも市民の役に立っていきたい」と連携に期待を寄せる。