人手不足倒産が最悪ペース 1~10月で前年同期比20.4%増 「後継者難」は7割超


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 人手不足が加速し企業の事業継続に深刻な影響が出ている。東京商工リサーチの調査によると、2018年1~10月に人手不足関連倒産は前年同期比20.4%増の324件に上り、13年の調査開始以降、最悪だった15年(1~12月で340件)を上回るペース。日本生命保険の調べでは、地方部で人材の逼迫(ひっぱく)感が目立っている。働き手の縮小に直面する産業界の実情を裏付けた形だ。

 人手不足関連倒産の内訳は、社長や幹部役員の急死、急病などによる「後継者難」による倒産が237件で全体の7割超を占めた。人手の確保が難しく事業継続に支障が生じた「求人難」は46件で、前年同期の31件から48.4%の大幅な伸び。これに従業員の退職が理由となった22件が続いた。業種別では、サービス業が90件で最も多く、建設業の64件、卸売業の55件が続いた。

 日生が7~9月に行った調査では、人手不足と感じている企業の割合は「全体的に」「一部の人材・職種」の合計で全国平均62.2%。地域別では関東を除く全てで全国平均を上回り、特に、北海道が74.6%、甲信越・北陸が70.2%、中国が68.8%で高かった。

 ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事は「地方では、大都市部よりも高齢化が速く進んで若者が足りなくなり、人手不足感が強まった」と分析。「生産性を高める対策をしなければ、事業継続が難しくなる」と警告する。

 安倍政権は外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案について、今国会での成立を目指している。日生の調査によると、人手が不足している企業が政府に望む対策(複数回答可)は、少子化対策の強化が42.7%で最多。外国人労働者の受け入れ拡大は4番目に多い27.9%だった。