沖縄の食文化を尊び、地元生産者、料理人すべての想いを一皿にした「ぬちぐすい」 (2/4ページ)

一品一品、異なる方法で調理した野菜で作る「ぬちぐすい」。盛り付けも、「オール沖縄」チームと樋口シェフたちの連携プレーで行われる

一品一品、異なる方法で調理した野菜で作る「ぬちぐすい」。盛り付けも、「オール沖縄」チームと樋口シェフたちの連携プレーで行われる

温故知新のスピリットで、沖縄の農の明日を切り拓く生産者。

10余年前に東京から沖縄北部・山原(やんばる)へ移住し、自ら畑を耕しながら、地域の農家と料理人をつなぐ「やんばる畑人プロジェクト」を展開する芳野幸雄氏。

「一カリスマシェフや、カリスマ農家に周りがぶら下がるのではなく、地域全体が主役になれる農のあり方を目指したい」と、活動を始めました。約20戸の農家と40軒の飲食店で構成される同プロジェクトでは、メンバーの地元料理人はもちろん、県外の料理人をも巻き込んで、収穫体験イベントや野外レストランも開催しています。

料理人と協働することで生まれる、農作物の新しい価値。例えばオクラひとつを例に取っても、収穫期を迎えた実だけでなく、花や脇芽、生育過程の小さな実など、あらゆるものが出荷の対象になります。皿を華やかに彩る見た目や個性ある香りは、料理人の創作意欲を刺激します。沖縄県北部の山間の地で活動を続ける芳野さんの作る野菜との出会いは、樋口シェフが「ぬちぐすい」を作る大きな一歩になりました。

地域の食を担うのは食材のつくり手、そこに光を当てるのが料理人の使命というのは、伊勢志摩でも貫かれている樋口シェフの料理の指針です。

「やんばる畑人プロジェクト」を立ち上げた農業生産法人「クックソニア」代表の芳野幸雄氏

「やんばる畑人プロジェクト」を立ち上げた農業生産法人「クックソニア」代表の芳野幸雄氏

芳野氏の畑のオクラ。沖縄では11月まで収穫できる。花や脇芽、小さな実を欲しがる料理人は多く、その時期の畑の状況を伝えコミュニケーションを取りながら、出荷する

芳野氏の畑のオクラ。沖縄では11月まで収穫できる。花や脇芽、小さな実を欲しがる料理人は多く、その時期の畑の状況を伝えコミュニケーションを取りながら、出荷する

国内ではほとんど栽培されていないタマリンド。芳野さんは沖縄特有の気候条件と山原(やんばる)の酸性土壌を活かし、カレーリーフやハンダマ、コーヒー豆などの栽培にもチャレンジする

国内ではほとんど栽培されていないタマリンド。芳野さんは沖縄特有の気候条件と山原(やんばる)の酸性土壌を活かし、カレーリーフやハンダマ、コーヒー豆などの栽培にもチャレンジする

ハーブ農園『岸本ファーム』視察時の様子。在来種を含め栽培品種は年間約200種。ひとつひとつの香り、風味を確かめる樋口シェフ

ハーブ農園『岸本ファーム』視察時の様子。在来種を含め栽培品種は年間約200種。ひとつひとつの香り、風味を確かめる樋口シェフ

沖縄の「母の味」にインスパイアされた日々の、命の糧。

ひとつでも多くの野菜を使い、沖縄の食を表現する一皿を作りたい。そう考えたとき、樋口シェフの頭に浮かんだのが家庭料理の「ちゃんぷるー」です。沖縄の方言で「混ぜる」の意味を持つ、県外の人々にとっても、もっともポピュラーな沖縄料理のシンボル的存在です。

自然の恵みに感謝し、食べる人の体を調える