ピラティスや朝勤行 奈良の寺開放 生き残りかけ挑む (1/2ページ)

本堂でピラティスをする参加者たち=奈良市の興善寺
本堂でピラティスをする参加者たち=奈良市の興善寺【拡大】

 「終活」や「墓じまい」といった新しい言葉が広まるにつれ、寺院を支えていた檀家(だんか)の「寺離れ」が加速している。存続の危機にある全国の寺が生き残りをかけて挑むのが「開かれた寺」の取り組みだ。仏教伝来の地、奈良県では現代人が求める「癒やし」を日常的に体感できる空間として、参拝者に門戸を開く寺が増えている。(田中佐和)

 風情豊かな古民家が並ぶ奈良市内の一角にある興善寺(こうぜんじ、浄土宗)では、昨年11月の日曜日、不定期開催のエクササイズイベント「お寺でピラティス」が開かれていた。お香の深い香りが漂う本堂で、11人の男女が畳に敷いたマットの上で垂直に足を上げたり、腹筋を使ってV字に体を曲げたり。「仏様に足向けてええんやろか」と戸惑いの声を上げながらも、リラックスした様子で楽しんでいた。

 ピラティスインストラクターの坂本あやのさん(46)は「スタジオだと『がんばらなきゃ』と力が入るけれど、お寺だとゆったりした気持ちで集中できてすっきりする」と話す。

「レンタル本堂」も

 文化庁によると、全国の仏教系寺院(平成28年)は約7万7千カ寺で、約5万5千店のコンビニエンスストアより多い。だが、世間の寺離れは深刻で、人を呼び戻すためにミラーボールを設置した本堂でダンスイベントをしたり、僧侶がバンドを組んだりと、エンターテインメント化を目指す寺もある。寺がレンタルスペースのマッチングサイトに登録する「レンタル本堂」も始まった。

 興善寺のように本堂をヨガなどイベントに貸す寺は増えているが、森田康友住職(48)は「ただスペースとして提供してもだめで、仏様とのご縁を結んでもらいたい」と強調する。参加者が本堂に入る前には、手に香を塗る「塗香(ずこう)」や香炉をまたぐ「触香(そっこう)」という身を清める作法と意味を説き、実践してもらう。森田住職は言う。「人は奈良に何を求めて来るのか。私はお坊さんがお坊さんらしいことをするのが、奈良に求められる『開かれた寺』の形だと思います」

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