フィンテック群雄割拠~潮流を読む

米国発で多彩なプレーヤーが競い合う 日本独自のフィンテックも (2/4ページ)

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 フィンテックの中で一番お金を集めているのは資産運用系や証券系の会社です。資産運用業としては、ウェルスナビ、お金のデザイン。証券会社としては僕の経営するFOLIOが、それぞれ約100億円前後という大きな額の資金調達を成功させています。手数料無料モバイル証券であるスマートプラスを設立したFinatextも60億円の調達をしており、決済サービス=ペイメント系では、スマホ決済サービスのOrigamiが88億円、Paidyが60億円、クラウド会計のfreeeが96億円ものお金を集めています。

 決済サービス系はそれだけのビジネスというよりも、そこから発展したビジネス展開がしやすいのでお金が集まっていると僕は考えています。どういうことかと言うと、決済サービスは誰もが日常的に利用するものだからインフラになり得ます。すると、そこにある種のエコシステム(生態系)が築きやすくなる。決済アカウントが作られることで、エコシステムができ上がれば、そこから別の様々なビジネスへの展開が広がる、という具合です。

 こんな風に見てみると、フィンテックという分野におけるプレイヤーの顔が少し見えてくるのではないでしょうか? 企業は、ロジックを組み立てて、事業計画としての未来のビジョンを描く。その企業への期待値が資金となって集まってくる。少なからずそこにはフィンテックの未来を占うヒントが見え隠れしているのではないかと、僕は思うのです。

 大手企業も参入している理由

 もちろん、このフィンテックの動きには、ベンチャー企業だけが参加しているわけではありません。KDDI、ドコモ、LINE、ソフトバンクなど、誰もが知っている企業もフィンテック分野のビジネスへの参入をしています。

 彼らは、自ら大きな資本力を持ちながら、既存のビジネスから新しいビジネスへの可能性を常に探っているプレイヤーです。彼らとしては、フィンテックが、別のビジネスへの活路を開くキッカケになるのなら、そこにあたりをつけておきたいはずです。フィンテックを通じれば、金融というものを1つのタッチポイントにできますから。すると、データが集められたり、異なるビジネスへの様々な展開が容易になる可能性があったりするから、彼らも「今」というタイミングを逃してはいけないと考えているのでしょう。

 日本のフィンテックの源流はアメリカ

 2019年の現在において、日本にもかなり多くのフィンテック・プレイヤーたちが顔を揃えました。しかし、多くの日本のフィンテック企業の事業アイデアは、元をたどると多くは「アメリカ発」のものだと推測できます。日本のフィンテックの源流がアメリカにあるという話から思い出すのは、僕の知人のエピソードです。

 この知人男性は、よく知られた外資系大手金融機関に勤めていた人物で、仕事仲間からも非常に優秀だと評価されていました。素晴らしい成績を上げて目をみはる活躍を見せていました。ところがこの彼は突然、海外出張から帰国後その会社を辞めてしまいます。日本の小さなベンチャー企業に転職してしまったのです。そのベンチャーは今でこそ有名になっていますが、当時はまだあまり知られていませんでした。同僚たち、仕事仲間の間では、「何が起こったんだろう?」と驚きが広がっていました。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus